観ないとソンダと思ったので

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ボブ・ディランが英語学習に効果的な7つの理由(その2)

 「ボブ・ディランが英語学習に効果的な7つの理由」前回の記事の続き、2つ目の理由です。

 

2. 英語のイントネーションとリズムが明確である。

ボブ・ディランの歌の発音ってどう思いますか?一般的には、ネイティブでも何言ってるかわかんないなんて言われますよね。確かに最近のライブなんかでは、知ってる曲で歌詞を覚えてても、何て言ってるのかわからないこともしばしばです。

物真似されるときでも大体甲高い鼻声でぐにゃぐにゃしたしゃべり方をされます。あの物真似は大体80年代くらいのボブのしゃべり方ですね。

しかし、何しろフォークで始まった人ですから、60年代は、はっきりと歌詞を伝えるように歌っていましたし、逆にメロディーのために言葉のリズムやイントネーションを犠牲にするということがなく、音的にも言葉を優先しているふしがあります。それが、時々、しゃべるように歌う感じになるのですね。

特に、英語のリズムとイントネーションが思いっきり強調されている曲が、Just Like A Womanではないかと思います。

 この動画はアルバム収録とは別テイクですが、歌詞付きで分かりやすいので貼っておきます。

youtu.be

有名なサビの部分を聞いてください。

She takes just like a woman, yes, she does
She makes love just like a woman, yes, she does
And she aches just like a woman
But she breaks just like a little girl

「彼女は、女のようにtakesー得る、女のようにmakes(love)ー寝る、女のようにaches-心を痛める。でも、幼い少女のようにbreaks―壊れるんだ」という、韻の踏み方といい、座布団2000枚くらいのニクイ名フレーズですが、聞いてほしいのは、この発音の仕方。

最初の3行は、sheを軽く伸ばしてタメをつくり、韻を踏んだ動詞takes、makes、achesをアクセントを誇張ぎみに吐き出した後、justーlike-a-womanと前にアクセントのある3つの単語を抑揚とリズムをつけて流します。そして、最後の行では、無理やり付け足すようなButのあと、動詞breaksをさらにアクセントを誇張気味に、そして、最後の just like a little girlは、just like a little までを一気に発声し、落ちのgirlは優しく引き伸ばす。

メロディーや譜割りに合わせるのではなく、言葉の意味に寄り添って、英語本来の韻やアクセントを誇張気味なまでに強調して、歌っているのがわかります。

聴く人によっては、歌じゃなくしゃべってるみたいだと言われることもあるボブ・ディランの唱法ですが、意味や韻を理解したうえでこのフレーズを真似して口ずさんでみると、アクセントやイントネーション、リズムに関して、メロディーと見事に調和しているのが分かります。

僕は特に意識して英語を勉強していなかった時でも、最後のBut she breaks just like a little girlの発音をなんども真似することで、just like aの言い方やlittleの発音が理解できた実感があります。

実際、このフレーズを口に出してみると、非常に心地よく、この気持ちよさというのは、詞と曲と歌がこれ以外にないと思われる完璧さで組みあわされているということではないかと思います。

 

次回に続きます。